ビデオゲームの歴史は50年以上ありますが、開発や商品化、市場拡大が加速したのはここ30年くらいのことです。
日本ではやはりファミコンが起爆剤となり、一般家庭で当たり前のように遊ばれるようになりました。
当時としては破格の高性能でしたが、現代からすると低性能ですし、機能的にも時代の流れを感じさせるものがあります。

それは音楽の部分も同様で、同時発音数が4音というのは現代では考えられないものです。
しかし、その制限が名曲を次々に生み出し、今でも世界中で愛されたり演奏される存在になっています。
ファミコンにおける4音という発音数は、効果音を含めたものですから、ゲーム中の効果音も同時に鳴らすとなると大変です。
それでも、当時のビデオゲームコンポーザーは知恵を絞り出し、工夫に工夫を凝らして印象に残る音楽を世に送り出しました。
リズムとメロディに和音まで感じさせるので、本当に完成度の高さが窺えますし、今聞いてもチープさを除けば立派な音楽です。

一方で現代のコンソールに目を向けると、ビデオゲーム開発の様々な制限はなくなり、音楽も自由に収録できるようになりました。
4音どころか数十トラックの利用も可能ですし、劣化のない非圧縮の音源をそのまま使うことができます。

本物のオーケストラの演奏を収録するのはもはや当たり前で、世界的な一流の楽団がビデオゲームを支えている時代です。
嘘や誤魔化しが効かないともいえるので、コンポーザーに求められる能力は、これまでとは違った方向で高いものになっています。
例えば作曲や歌ものの制作能力などがそうですし、リアルさを売りにするタイトルであれば、映画並のクオリティが求められるでしょう。

今ではサウンドトラックも立派な商品ですから、単品のCDで売れるくらいの作曲、編曲を行う必要があるわけです。
実際に映画畑の巨匠が担当したり、映画で使われるスタジオでの収録が売りになったりします。
アートといえばそういう側面もあって、同時に商業的な重要性も担っているのが現代のビデオゲームの音楽です。
映像の質が先行したりシナリオが重視される時代とは違い、楽曲を含めた総合力が評価されます。
雰囲気を壊さないのは当然として、シーンに合わせて場を盛り上げたり、プレーヤー感情を誘導するような役割を担います。

没入感が重要なVRタイトルでは、従来とは異なる進化が求められているので、このあたりを切っ掛けに進化を続けていくものと考えられます。