デジタルアートは、日本人が世界を牽引するジャンルです。その定義は、コンピューターやセンサーなどのテクノロジーを活用することにあり、人の動きを感知したり、直接触れることによって明かりや画面が変化するなど、その場にいる人が作品の一部になれるかのような感覚を体感できます。デジタルアートは日本発の作品が多く、中でも日本人アーティストを代表するDaito Manabe(真鍋大度)やMasaki Fujihata(藤幡正樹)の活躍は、目覚ましいものがあり、世界のデジタルアートを牽引する存在といって良いでしょう。

日本発のデジタルアート

Daito Manabeは、1976年東京都出身のデジタルアーティストです。株式会社ライゾマティックスの取締役であり、慶應義塾大学環境情報学部特別招聘教授という肩書に加えて、デザイナーや映像作家、DJやVJなど多方面での活躍が知られています。2020東京五輪の招致のためのプレゼンテーション作品を制作した他、2017年には日本初のデジタルアーティストによる個展を鹿児島県霧島アートの森を開催、さらに天皇陛下即位を祝う国民祭典での奉祝曲の演出を担当するなど、その活躍は目覚ましいものがあります。

Masaki Fujihataは、デジタルアートの先駆者です。1980年代からデジタルアート作品の開発に取り組んでおり、インターネットが登場した1990年代からは双方向の作品を手がけるようになります。世界的に注目されるきっかけになったのが、1996年、オーストラリアのリンツで開催される世界的なメディアアートイベント「アルス・エレクトロニカ」でした。ゴールデン・ニカ・グランプリを獲得した「Global Interior Project#2」は、ネットワークをテーマにした作品であり、審査員の関心と絶賛を集めました。

デジタルアートへの関心が高まる背景には、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)の存在も指摘できます。日本語で直訳すると「代替性のない象徴」であるNFTは、製作者を支える新しい仕組みです。作品が消費者のもとに届くまでに差し引かれる仲介業者による手数料を軽減するとともに、二次流通(中古市場)で取引されるごとに、一定の手数料が製作者のもとに入るため、未来のアーティストの制作環境をより良くします。この技術は、暗号通貨で知られるブロックチェーンを活用しており、デジタルアートだけでなく、ゲームやイラストでの利用も加速しています。デジタルアートは、新しい表現や演出を想像するだけでなく、NFTと組み合わせることでアーティストの可能性を広げてくれます。