インターネットが普及した影響というのは非常に多く、それまでの生活が激変しました。
その中でも大きなものがデジタルメディアであり、劣化をすることなくコピーが容易で大量に保存をすることができるようになったことから、誰もが日常の記録を鮮明に残すことができるようになりました。
従来のメディアと比較をして、圧倒的便利になった一方で使い捨て文化になってきたのも事実です。
以前のようにフィルムやテープなどの物理媒体をしようしていた時代というのは、フィルム代やテープ代が決して安いものではないので、何でもかんでも記録に残すということができませんでした。
その分だけ記録をする情報は厳選されたものとなり、いつまでも残しておきたいと思うものだけを記録していたのです。
それがデジタル時代に突入をして、実質無限に記録をすることができるようになった今日では、残す価値があるかどうかは後で考えることにして、ひとまず記録をしておくという考え方が広まるようになりました。
これは至って自然で合理的な考え方であり、後になって記録を残しておけばよかったと思うぐらいであれば、とりあえず記録だけをしておいて、後で判断をするのは間違ってはいません。
ところが、日常のありとあらゆるものを何でもかんでも記録に残していると、後から整理をするのも大変で結局それらのものを使い捨てることになってしまった側面もあるのです。
大量に記録をすることができるようになったことで、一つ一つの価値が軽減することになり、重要性の高いものだけを残していくという考え方が薄まってきてしまっています。
もうひとつデジタルメディアが使い捨て文化と言われる所以として、数十年先にデータを読み出せるかどうかの問題があります。
デジタルデータは劣化をすることがなく、理論上は一生読み出すことができるはずですが、現実的には規格の変更で数十年先に読み出せる機器がなくなっているということも考えられます。
印刷した写真であれば色あせても何十年何百年先と見返すことができますが、本来であれば永久に残すことができるデジタルメディアのほうが、他の要因で消え去ってしまうことがあるのです。
いくらでもコピーをすることができるため、一度インターネットに流出をしたら二度と消えることがないと言われたりしますが、実際にはいくらでも消えてしまうことはあるのが、デジタルメディアの使い捨て文化の実態ということになるでしょう。